山に行けても本を読めばいいじゃない!実際の事例から学ぶ「ドキュメント道迷い遭難」
こんにちは。まつみです。
務めている会社で以前に社内研修を計画する仕事をさせてもらった事があったのですが「インシデントをどうしたら減らせるか」というテーマで社内研修をやったことがありました。
その時に一緒にサポートしてくださった先輩の言葉...
「インシデントの事例集を読むといいよ。インシデントを読むと自分がした事じゃなくても、事故を起こした人に近い脳の動きになって自分も気を付ける意識が上がるらしいよ!」
先輩はテレビかなにかで昔見たらしいのです。
真意のほどは分かりませんが、インシデント事例を読むって対策を考える力が付くしとってもいい行為でした!
ふと、登山もそうだな!と思ったのは最近でした。私はまだ登山始めて2年(しかもコロナ禍で登れていない時期あり)なので初心者レベル。道迷い・遭難は常に怖いです。人がどんなところで道に迷い遭難してしまうのか、雑誌などに載っている事例はたまに読んでいたのですが、事例をがっつりと載せた本は読んだことがありませんでした。
ヤマケイの「山小屋主人の炉端話」を読んだことを記事にしたとき、
タチコマンさんというかたがコメントをくださいまして、ヤマケイの遭難関連の本の存在を教えて頂きました。
タチコマンさんのブログはこちら。素敵なブログです。
↓↓↓
先輩の話を思い出した事も重なり読んでみたのでした。
タチコマンさんありがとうございました!
ヤマケイ「ドキュメント道迷い」
羽根田治著
このシリーズは他にもあるのですが今日はそのうちの1つを読んだのでご紹介させてください。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
この本について
山岳遭難のなかで道迷いにスポットを当てて7件の事例を紹介した本です。実際に著者が本人や関係者に取材を行い事故の経緯や原因を細かく説明しています。道に迷った場所の地図を掲載されているところも分かりやすいです。
著者について
山岳遭難や事故を取材して書かれているライターの方です。
この本から学ぶこと3点
この本から学ぶことは3点どころの騒ぎじゃないのですが、ぎゅぎゅっとまとめて登山初心者目線で3つを紹介したいと思います。
1、迷ったら下らず上がれ!
道迷いは下山時が多いと言います。理由は疲労や油断。山頂にも到達したしあとは帰るだけだ、という思いが油断を招きます。そんな時に道に迷ってしまったら…と思うと考えただけで嫌だなぁと思ってしまいます。疲れた体をさらに動かさなければならないのですから。そんな時、人はやっぱり下りたくなるそうです。そして、麓が近くなると現れるのが沢です。「沢の音がするってことは麓が近い!このままどこかへ下りられるはずだ!」とつい思ってしまうのです。しかし!これが大きな間違いなんだそう。
今回この本で紹介した事例のほとんどが沢へ降りたことで道迷いをさらに深刻な状況にさせています。沢をたどって下るとき、麓に向かって緩やかに小川のように流れていくことはまずありません!だいたいにおいて滝や大きな岩が現れます。そこにぶち当たったとき、これ以上先に進むことが出来なくなってしまうのです。それだけならまだいいのですが、この道迷いが原因で崖や滝などに転落・滑落をしてしまった例は多いそう。
じゃあ、どうすればよいか?
「何かがおかしい!」と感じた時、
迷わずもとの道に戻る
自分の現在位置が分からなくなった場合、下らず、上がる!つまり稜線に出るのです。
理由は、
・稜線に出ることで見通しが効き、自分の現在位置を把握出来る。
・稜線は樹林帯より携帯電話の電波やGPSの電波が入る可能性が高くなる
・沢に降りたことによる転落・滑落のリスクを減らせる
3つは可能性なので必ずしも助かる確率が上がるものではありません。1番は道に迷わないように準備することなのですがもし本当にやばい時これを頭に入れておくといいかもしれませんね。
2、楽観的バイアスと正常性バイアス
楽観的バイアスとは。人は本来ポジティブに物事を考えるように出来ているらしく、窮地に立たされた時に「なんとかなるさ」と思うように出来ているそう。なので「このまま下って行ってもなんとかなるだろう」と思ってしまうことが、道を引き返さずにどんどん行ってしまう原因の一つになっているというのです。
正常性バイアスとは。人間は自分に都合の良い選択を正しい選択だと思い込む傾向にあるということだそうです。正常性バイアスに陥っている時で道に迷った時、「こちらが正しい道に違いない」と、違和感を感じつつもどんどん進んでしまったりします。怖いです。これ。
楽観的バイアスと正常性バイアス。この2つが人間の中で働いている時、心はポジティブに考えながらも物事はどんどん悪い方へ悪い方へと行ってしまっているかもしれないというわけです。
どうしたらいいか…それは常に自分は遭難事故の当事者になるかもしれないという思いを強く持つことだといいます。頭のどこかで「遭難は他人事。自分は大丈夫!」と思いがちですが、遭難は初心者でもベテランでも何歳でも起こり得ます。常にその事を意識して行動することが道迷い遭難を減らす材料になるといいます。
3、地図、GPS携行の大切さ
7件の事例の中に地図を携行しなかった例がひとつありました。その方は結局、日帰りの予定が3夜、山でビバークすることになってしまいました。地図は大切ですね...。最近はスマートホンでもYAMAPや山と高原地図のアプリ版など電子版の地図がありますよね。私も山と高原地図のアプリは愛用しています!簡単に自分の現在位置を知れるのでかなり重宝していますが、スマートホンの電池が切れたり、紛失したりした場合まったくの無能になってしまうので紙の地図も必ず持ち歩いた方がいいでしょう。
恥ずかしながら私はよく紙の地図を忘れます...💦電子版ばかりに頼っている証拠ですね...
本のあとがきには携帯電話の普及による道迷いの増加と書かれたページがありました。
え、携帯電話の普及は良いことじゃないの?と思うかもしれませんが、GPSの普及自体はとても良いことなのですが、簡単に電話が通じるようになったことで準備が甘い登山者が増えたという意見もあるそう....
まとめ
私も以前、瑞牆山で道を間違えたことがありました。予定ではピストンで同じコースを下山する予定だったのですぐに「景色が違う気がする!」と気づいて引き返しました!10分くらい歩いてから気付きました!
本当は富士見平小屋の方まで下山するはずが、
こちらの黒森コースの方に下りてしまったんですよね。
山頂をちょっと下りたこの分かれ道で間違えたのです。
その時に、「また登り返すの嫌だな〜このまま下ってどこかに降りてしまえないかな〜」と一瞬思ってしまったのですけど、「いやそれって良くない気がする」と思ってもとの場所まで戻ったのでした…
原因は、登りで溜まった疲労で判断ミスしたことと、その日は体調があまりすぐれなかったんですよねー、
あと、私は一応これでもものすごくビビりな性格で💧普段は地図をめちゃくちゃ確認するんすけど、下山を開始してまだすぐの時だったし、ピストンだったので地図をきちんと確認してなかったんですよね…これが一番良くないですよね…
たった10分間の出来事だったんですけど、この本を読んだ後に思い出すと怖いですね…
この本を読んでさらに気を引き締めて気をつけないとなと思いました。しかし、本を読んでいる時のコンディションというのは登山中とは違って、落ち着いているし、脳もクリアな状態のことが多いです。今強く決意してもハプニングがあった時、疲れている時、いろいろな状況下に置かれたときでもその判断力は発揮出来るでしょうか…やはりいつでも遭難の当事者だという意識を持って登山に臨むしかとありません。
これを読んでくださったかたも安全に登山されますよう願っております。
またこんな経験したなどありましたらコメントで教えてください😊!